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わが国の市場関係者は、貸株制度についてやや無頓着という感じがしないでもない。 派生証券取引の包囲網程で登場したのが「株価指数先物性悪説」である。
とくに外資系証券会社が積極的にこれを利用、国内投資家が急落に苦しんだなかで巨額の利益を得たことが明らかとなったため、株価指数先物に対する憎悪の念が増幅されていった。 確かに日経225種平均株価指数先物取引は指数構成上の欠陥もあり、特定の少数銘柄の過剰売買によって指数そのものが大きく変動する習性もあった。
ため、採用銘柄数を増やし、銘柄の時価総額を反映させるべく改善されたものが日経300種であり1994年2月から正式に指数先物として採用された。 その後、株価が平均株価で2万円を中心とするボックス圏で推移してきたため、指数先物取引で巨額の利益ないし損失を計上したという話はあまり聞かれなくなっている。
ボラティリティが小さくなっているため、売りでも買いでも、ともに動きがとれない現状であり、当然とみられる。 しって、一時期、正当性を得た感のある「株価指数先物性悪説」は、かなり後退したといえる。
現在、一般論としていわれているのは「派生証券取引の世界はゼロサム・ゲームの世界、プラスもマイナスも結局は相殺される」というものである。 確かに、理論的にはその通りであるが、こうした安堵感がわが国で広がるのとはウラハラに、海外市場ではわが国証券についての多種多様の派生証券が誕生し、取引されるようになっている。
こうした観点からすれば、東京市場の空洞化というよりは、むしろ完全な立ち遅れといってもよい。 空洞化とは、もともと存在していたものが海外に移転することから生じる現象であるが、個別銘柄のオプションやインデックスに連動するコール・ワラントやプット・ワラントなどは、そもそもわが国に最初から存在していない商品である。
空洞化ではなし完全な立ち遅れ現象といってよいのである。 そこで最近、海外市場で取引されている派生証券のいくつかを紹介してみよう。

わが国投資家が関知していない領域で、取引がなされているというのはいささか驚異である。 まず、ジャパン・インデックス・オプションがある。
代表的なわが国の210銘柄で構成されている指数オプションで1990年9月からアメリカン証券取引所(AMEX)に上場されているが、わが国ではその存在すら知られていなかった。 ところが1994年7月27日に、ジャパン・インデックス・オプションと連動するコール・ワラントとプット・ワラントが間取引所に上場された。
満期1997年7月で3年間、これによってアメリカの投資家のヘッジ機能が強化されることとなった。 また、これに伴うパスケット耳も活発化している。
アメリカには、トリプル・ウィッチングというものがある。 株価指数先物、株価指数オプション、個別銘柄オプションの3つが同一日に算出1となることを意味するが、わが国ではまだ個別銘丙のオプション」取引は認められていない。
ところが、アメリカにおいて1994年8月26日、Sのオプション取引がシカゴ・オプション取引所(CBOE)に上場された。 過去1年間の実績が240万枚以上というオプション上場規定に合致した銘柄となったからである。
もっとも規定実施前に上場したものとしては、H製作所(CBOE)とH(フィラデルフィア証券取引所)などがあるが、今後、Sに続く本格的な銘柄が出てくるものとみられる。 一方、日本では日経300種指数先物およびオプション取引は、日経225種に代わるものとして熱い視線を浴び1994年2月14日に大阪証券取引所に上場された。
派生証券取引については、アメリカの圧勝のような印象を受ける。 だが、実態は必ずしもそうではない。
むしろアメリカが懸命に巻き返しを図り、わが国市場が取り残されているというのが現状であろう。 1993年に世界全体の派生商品取引(証券以外のものも含む)に大きな変化が生じたのである。

現在、主要な先物・オプション取引所は世界に62カ所(アメリカ15.アメリカを除く各国カのそれを上回ったのである。 これにより、これまで常に世界の過半数の取引量を確保してきたアメリカの優位性が崩れ去り、各取引所競合型の時代に入ったとみることができる。
こうしたなかで、株式オプションに限定してみれば、アメリカでの取号|は着実に増加、世界をリードする立場にあり、また各種先物・オプション取引の巻き返しに貢献しているといえる。 オプション・クリアリング・コーポレーション(OptionC1earingCorp.)の調査によると1993年のアメリカにおける株式オプション(指数および個別オプションの合計)は、枚数ベースで前年比15%増となっている。
その理由については、各種指数オプション(S&P500種、同100種など)に加え、カントリー・フアンド、外国企業の関連銘柄の個別オプション取引の増加が大きく寄与しているという。 個別オプション採用銘柄1987年当時から増加し1993年末で個別銘柄オプションは取り扱わないというもの)を変更、力を入れていく方向に切り替えつつある。
当然、こうした流れのなかに、わが国の指数先物・オプション、個別銘柄のオプションが組み込まれていく形となってくる。 しって、わが国投資家の関知しえないところで、日本株の株価形成が行なわれていくことになる。
外国人投資家からみた東京市場の空洞化と日本側の対応策ここでは、外国人投資家からみた東京市場の空洞化問題について触れ、それなりの対応策について結論めいたものを出してみようと考える。 だが、まずそれ以前に「果たして空洞化している」という認識が正しいのかどうかというところから入らなければなるまい。
一般的な論調は、最初から「空洞化している」と決めつけているものが多い。 たしかに、プルデンシャル証券やキダー・ピーボディ証券の東証会員権の返上、外国企業の東証外国部からの上場撤退、大型社債のユーロ市場(円建て債)へのシフトなど、相次ぐ最近のケースをみると空洞化。
そのものが現実味を帯びたものに感じられてくる。 誤解してはいけないのは、すべての面において空洞化が進んで、いるわけではないということである。
とくに、外国人投資家からみた場合には、空調化どころか逆に東京シフトが進んでいる現象がいくつか指摘できる。 その第1は、株式委託売買高に占める外国人投資家のシェア上昇である。
第2章でも述べた通りであるが1993年で23.1%.において初の個人部門との逆転現象が生じている。 背景には、国際分散投資というメガトレンドがあり、外国人の持株比率の向上、現物・先物聞の裁定取引の増大などが裏打ちする数字として挙げられる。

第2は、外国人投資家の東京市場における現地運用主義の定着である。 現地運用主義とは、情報、市場性、時差等を考慮すれば、日本株については東京市場で運用するのがベストどの考え方である。
とくに、ボトム・アップ方式を採用するアクティブ運用においては、個別銘柄の会社訪問を含めたキメ細かい情報が不可欠となるため、資金をわが国に持ち込まざるをえない。 具体的には、インハウスの運用で、自らそれを持ち込んでくるか、あるいは投資顧問会社との運用契約で持ち込むのかの2通りの方法があるが、いずれにせよ、少しでもパフォーマンスを向上させるために、またライパル企業に勝つために、現地運用主義を採用せざるをえないのである。

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